吸血鬼が幽霊になって何が悪い!
「女の子がいないな」
病室におれ達と同じ立場で、執行官から選択を迫られているはずの少女がいない。
日々衰えていく自分の姿を見たくなくて、どこかに姿を消しているのだろうか?
できるだけ両親と一緒にいたいと思うなら、家にいることも考えられる。
「どうする?」
「しばらくこのまま待つよ」
そう言って翔也は前を見据えたまま黙る。
陽が傾きかけてきた頃、背広姿の中年の男性が病室にやって来た。
「セイラ、今日もかわいいよ」
さらりと言葉を投げ掛け、男性は椅子に座る。