吸血鬼が幽霊になって何が悪い!


床頭台の引き出しからボールペンサイズの美顔ローラーを取り出し、女の子の顔の皮膚をコロコロ擦っていく。


女の子が薄っすら瞼を開けた。


「起こしちゃったかな……ごめんね」


眼球が僅かに動き、いいよ、と合図を送っているように感じた。実際はローラーで顔を擦ったので、物理的に動いただけだと思う。


父親と思われるその男性は美顔ローラーで丹念にローリングしていく。


本来男が使う機会がない代物だが、日課になっているためか手馴れている。


少女の頬にたるみがなく、皮膚の張りを保っている理由がわかった。

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