吸血鬼が幽霊になって何が悪い!
幸運が舞い込んできた。
生身の人間の体は触れられないのに、物は可能だ。
血液が流れているチューブをベッドの下で音を立てて吸えた。
「あれ?どこか外れてるんじゃない?」貫禄のある看護部長が異変に気づく。「血液が流れてないわよ」
「すいません」
若い女の看護師は頭を下げたが、外れたチューブの先から血液が床に一滴もこぼれ落ちていないことや中身がほぼ空なのを不思議に思っている様子で、血液パックとチューブを何度も見比べていた。
「なにグズグズしてるの?早く二単位用意して!」
「はい!」
迷惑かけたな、と思いながらもおれは喉が潤ったことに満足する。