吸血鬼が幽霊になって何が悪い!
はっ!!と我に返る。
迷惑かけたな……モノクロに血の色がプラスされた世界に来てから、吸血鬼に不可欠な悪魔的要素が薄れているのでは?という疑念が確信へと変わる。
おれは本当に中途半端な存在だな。
体内にモヤッとした気持ち悪い空気が充満した。きっと色は中途半端な灰色だろう。
すっきりしない気持ちのまま623号室に戻る。
「昨日、お母さんがね……」
父親は盛んに娘に言葉をかけていた。
しかし、翔也が病室にいない。
どこに行ったんだ?