吸血鬼が幽霊になって何が悪い!
六階を歩き回ったが、翔也の姿はない。
もしかして……。
さっきまでのモヤッとした気持ち悪さとは質の違う空気が固まり、ズシリと重量感を携えて腹の底に落ちる。
不安という名の凝固された塊は翔也の顔を見るまで消えそうもない。
おれは六階詰所へ。
入院患者のリストを探す。
プリントアウトされた用紙が電話の隣に無造作に置いてあった。
たぶん入院患者の親戚関係などから問い合わせがあって、受話器を持ちながら応対したばかりなのだろう。