吸血鬼が幽霊になって何が悪い!
まさか選択を迫りに執行官が来ているとは思わなかった。
「ああ、そうだ」
おれは視線を逸らさないように注意しながら答えた。まさか翔也を探しにきたから、おさらばというわけにはいかない状況だ。
「帰ってくれないか」
「執行官さんの邪魔をすることに生きがいを感じている」
おれは薄笑いを浮かべて強気なところをみせる。
「決断はできたかな?」
執行官はおれを無視して、セイラという女の子に尋ねた。
「はい、もう決めています」
セイラの即答は焦って返事をしたのではなく、落ち着いた雰囲気がある。それほど歳は違わないはずなのに、翔也よりも大人に感じた。