吸血鬼が幽霊になって何が悪い!


「事故だろう。ビルの下を歩いていた無関係な人を巻き添えにしなくてよかったな」
おれが答えてやると翔は頷く。


本当に馬鹿なことをしたという反省の色が顔に出ている。


屋上に設置されている柵を超えると、コンクリートが劣化している場合にアルミの板が補強してある。雨で濡れていたら滑りやすくなっていただろう。


「選択は決まったか?」
おれは翔也の隣に腰を降ろす。


死を選択しないだろうという確信があったからこそ尋ねてみた。


「うん。ぼくに運動機能はいらない」
翔也は瞬きせずにモノクロの空を見詰めながら答えた。翔也の目にはすでに青空となって目に映っているのかもしれない。

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