吸血鬼が幽霊になって何が悪い!
「吸血鬼さんは決断したの?」
翔也が不安そうに訊いてくる。
「いや、まだだ。怖くて決断できずにいる」
おれが苦笑いを浮かべて言うと、翔也はクスクス笑う。
「また会えるかな?」
急に寂しそうな表情に変化させて尋ねられた。
「さぁな」
おれは肩をすくめ、本気でこの先どうなるかわからないことを表現したが、相手からすると重要な質問をしたにも関わらず、軽い感じで流された気持ちになるかもしれない。
翔也との別れはそれくらいがちょうどいいと思った。
「いくぞ」
執行官が翔也の肩の上に手をのせた。