ずっと一緒
岡平君のお母さんの笑顔。これが私の心を止めたんだ。私がミクちゃんから話を聞く前、一度、岡平君の家にお邪魔したことがある。その時に、優しく笑顔で接してくれたお父さんとお母さんの姿が頭に残っていて、その笑顔を思い出すと何故だか分からないけど、別れる事ができなかった。
…そして何日か過ぎ、岡平君がウチに泊まりに来た日の事。
岡平君の方からアノ話をしてきた。
「サクちゃん、あの時怒っとったん?」
…私は何も答えなかった。話したくなかった。
泣き虫な私だけど必死に涙をこらえて我慢した。
しばらく沈黙が続き、最初に口を開いたのは岡平君の方だった。
「怒っとったやろ?メールも返してくれんやったし」とかグダグダ言ってた。
言い返しても過去は過去…消せる事のできない事。
私は、「怒ってないよ」と精一杯の作り笑顔でそう答えた。心が痛かった。
岡平君も少し悲しそうな顔をして、私の頭を撫でながら「ごめんね」と言ってきた。
別にもういいやと思い、
「うん」と返事した。
それから二人で布団に入り、お互いの過去の恋の話とかを話した。
自分の過去も全て話した。黙って聞いてくれた。
高校の頃から岡平君が好きだった事も話した。
< 10 / 12 >

この作品をシェア

pagetop