【短編】レタスとサバ
「悪いとは思ったけど…俺だって譲れないものがある」

「だからそれは何?」

「………」

「幼なじみの私より大事な物なんでしょ?」

「そういう訳じゃ…」

「でも実際そうじゃない!あんたは私よりアイドルを取った。それだけの事。私は裏切り者は許さない!どっちも手に入れようなんて都合良すぎるのよ。」

私は掴まれた肩を思いっきり引き、サバの手を振り払った

そして振り返りまた家への道を歩き始める

「待ってよ、レタス!」

私は振り返らず早足で進んだ

これ以上話したって、何にも進まない

サバが話してくれなきゃ何にもわからない

でも、話してくれない…

どんなに聞いたってサバは話しなんかしてくれない…

だからもういい…

サバなんか知らない!

「レタス!レタスー!」

無視、無視!

「レタ、れ、麗花!麗花ー!!」

サバ…

止まりそうな足を必死に進める

「麗花!!」

やめて、今更名前で呼ばないで!

気持ちが揺れる…

あの頃の気持ちが蘇る…



気付くと走りだしてた
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