【短編】レタスとサバ
「だから、サバの事許してやってくれないか?あいつはな…お前を守るために必死なんだよ…」

「だ、だって…いまさら…」

「あんなに仲が良かったお前達が一緒にいないのは寂しいもんだ…
あんなに一緒にいて、いつも楽しそうだったお前達が、もう見れないんだから、組合全員がっかりしてるもんだ…」

「…そんな…」


「レタスもサバも、辛い時期に産まれた、商店街の宝だからな…
キャベツも太宰も、かすみも宝だが、お前達は特に太陽みたいだった…
前みたいに許してやってくれよ」

ごましお…

「…今は、気持ちの整理がつかないから…考えておくね…」

私は寂しそうなごましおを残して、自分の部屋に上がる

サバは、私の為にアイドルになったの?

私を守るために?



『俺にだって譲れないものがある』



私に嫌われても、私を守ることが譲れないこと!?

ば、ばっかじゃないの!

そんな事して私が喜ぶとでも思ってるの?

ばか…

私は目の前の机に乗せた携帯電話を見つめ、一度大きなため息をついて手に取った。

そして、発信ボタンを押した
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