【短編】レタスとサバ
「アンタの一番大事な事って何?」

「私の…?」

そ、そりゃあ…

「アイドルになりたい…」

「何の為に?」

「商店街の…活気を…盛り上げるため」

そう、私が一番大事にしているもの…

それはこの商店街だ

私が愛してやまないこの商店街を、今よりもっともっと活気づけたい

私は次女で、店を継ぐ事は出来ない
それはお姉が決めたことだから

私は下手をしたらこの商店街からどこかへお嫁に行かなければならない

それなら、せめてその前にこの商店街を盛り上げて去っていきたい

それが私の、恩返しだと思うから…

それなのに、その事をたくさん話して来たサバにそのポジションを奪われた

私の夢を取られたんだ…

「サバね、何か始める時にいつも相談してくんのよ…
アンタだったらどうするか?って」

「え?」

「サバはいつもアンタになったつもりで、アイドルやってんのよ?」

「…嘘…」

「アンタの代わりに、アイツは頑張ってんのよ…」

私の代わりに?

私になったつもりで?

「アンタに責任感じてるんじゃないの?」
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