【短編】レタスとサバ
私は羽交い締めされ、片手で口を押さえられ、もう片方の手は私の顔の前にナイフを突きつけていた

回りのお客さんが悲鳴をあげ、サッーと離れていった

「いいか、近づくんじゃねーぞ!」

男は鼻息を荒らし、唾を飛ばしながら威嚇する

「止めろ!その子を離せ!!」

そばにいたゴマシオが吠えた

「うるせー!近くでも寄ったら、この子を刺すぞ!」

「何が目的なんだ!?」

「この子を…」

ニヤニヤしながら答えている男に、全員が気持ち悪いという表情を見せる

私は押さえられている間に壇上のサバを見ると、サバは信じられないくらい怒りの表情をむき出しにしていた

気持ち悪いと言っていたお姉の言葉が蘇る

この変態は臭くて不潔な感じがして、早く逃げたかった

アンタのせいで、私とサバは不仲になったんだよ!

怒りが込み上げてきて、私はヒールで何回も男の足の甲やすねを蹴り落とした

「こ、コイツっ!」

少しひるんだ瞬間に、私は振り返り様肘で男のこめかみを強く打ち付けた

男が私を離し、よろめいた瞬間私はどこかで『勝った!』と思った
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