【短編】レタスとサバ
しかし男はこめかみを触りながら私を睨むと、何の躊躇もなく手のナイフを振り上げたんだ…

私はそのナイフを、スローで見ていた

見ていたのに、体は動くことができなくて…

ただ、黙って切られるのを見ていた




その時目の前に何かが現れた瞬間、時間は正常に進み、私は後ろへ突き飛ばされた

よく見ると、そこにはサバがいた

私の前に、私を庇っているサバが!!



「サバ!」

「麗花に手を出すな!」

男はニヤニヤしながらナイフを弄び、もう一度降り降ろそうとした時、サバが何かを男に投げつけた

ゴンという音がスピーカーから流れてきて初めて、マイクを投げたのだとわかった

マイクは男の目に当たり、男が酷く痛がりながらナイフを振り回し始め、逃げる準備を始めた

私は追いかけようと立ち上がったとき、サバがひどく汗をかいているのに気づいて目をやると、サバの右手が真っ赤に染まっていた!

「さ、さいら…?彩良!!」

私は慌ててサバの肩を掴んだ

「彩良、さっき私を庇って…」

「麗花、俺はいいからアイツを…」

「あんたを置いてなんて!」



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