キミと生きた時間【完】
「お母さんのお弁当……嫌?もし里桜が嫌なら……――」
「ううん、嫌なんかじゃないから。変なこと言ってごめん!じゃあ、行ってきます!!」
お弁当の入った包みを受け取ると、あたしは元気に玄関を飛び出した。
これからゆううつな一日が始まる。
胃がキリキリと痛んで学校へ向かう足取りは重たい。
ふと手元のお弁当に目を落とす。
このお弁当を学校でからかわれていると知ったら、お母さんはどんな気持ちになるだろう。
毎朝、5時に起きてお弁当を作ってくれているのを知っている。
あたしの健康を考えて、お母さんが夜な夜なお弁当のレシピを考えてくれているのも知っている。
だからこそ、『もうお弁当はいらない』と言い出せなかった。