キミと生きた時間【完】

「あたしね、学校にいる間で一番この時間が嫌いだったんだ」


屋上に着き、冷たいアスファルトに腰かけてそう切り出す。


「一人でいる時間って大好きなの。一人で本を読むのも、お買い物に行くのも。だけど、学校の中で一人になるのってすごく孤独」


「あー、それ分かる気がする。あたしも学校にいる間は雑誌読んだりスマホいじったりしてたけど、あんまり集中できなかったもん」


「樹里もそうなの……?」


「うん。周りのみんなの楽しそうな声が聞こえてくると自分だけ取り残された気持ちになったし、ほかのみんなとうまくやれないのも自分に問題があるのかもって悩むことも多い」


「それは、今も?」


「そりゃそうだよ。里桜だっていじめに慣れた?」


「ううん、慣れない」


「それと同じ。一度いじめられた経験を持つ人にならわかると思う」


樹里は青く晴れ渡る空をぼんやりと眺めた。

< 104 / 326 >

この作品をシェア

pagetop