キミと生きた時間【完】
ベランダのふちに右手をかけると、心臓がドクンッと脈打った。
ドクンドクンッという心臓の音が妙に気持ちを高ぶらせる。
大丈夫。
きっと、死を前に興奮しているだけ。
そう自分を納得させて、左手もベランダにかける。
ごめんね、お父さんお母さん。
こんな娘でごめん。
そう心の中で呟き、両手に力を込めてグッと体を持ち上げようとした時、
「……――いい風だな」
背後からそんな声がして、思わず振り返った。