キミと生きた時間【完】
「話しかけよう話しかけようって思ってたんだけど、そういう時に限ってなかなかタイミングって合わないもんだよね」
「誰に……話しかけたかったの?」
「君に」
「……は?」
一度も話したことのない彼にまでからかわれている。
ふつふつと湧き上がる怒りはこれ以上ないむなしさに変わる。
「あたし……?冗談でしょ?」
「冗談じゃない」
真っ直ぐあたしを見つめる彼の瞳はまったく揺るがない。
その瞳にすべてを見透かされているようで、あたしはすぐに目を反らした。