キミと生きた時間【完】

「聞いても教えてくれないような気がするの」


「どうして?」


「宇宙君は自分のことを話そうとしないから。一緒にいても話しているのはいつもあたしで、宇宙君は聞き役だから」


「それなら、今度からは里桜が聞き手に回ってみたらどう?」


「そうだね……。だけど、たまに不安になるの。ある日突然、宇宙君がパッとあたしの前からいなくなる気がして」


どうしてそう思うのか、自分でもうまく説明できない。


だけど、宇宙君は時々一人で考え込むような表情を見せる。


そして、ときどき笑顔を浮かべている宇宙君が今にも泣きだしてしまいそうに見えるときがある。


宇宙君が名前を言わないのも、あたしに多くを語らないのも、


何か理由があるのかもしれない。





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