キミと生きた時間【完】
できたばかりの友達である樹里は、つらいイジメの過去を必死に打ち明けてくれた。
いまだに、その傷は癒えてはいない。
ようやくかさぶたになりかけた傷をあたしという存在のせいで剥がすことになってしまうかもしれない。
「ねぇ、黙ってないで何とかいえば?」
せかす様に美奈子が口をはさむ。
樹里は中学時代、友達を守ったことで自分がいじめられてしまった。
あたしが今、樹里と仲良くし続けるということは、その友達と同じかもしれない。
あたしが樹里と一緒にいれば、美奈子は確実に樹里もいじめる。
樹里を守る方法は、一つだけ。
あたしが犠牲になればいい。
あたしは真っ直ぐ美奈子を見つめた。