キミと生きた時間【完】
「分かった。樹里とはもう仲良くしない。だから、樹里の誤解を解いてあげて……」
「そう言うと思った。だけど、アンタのそういう正義感丸出しなところ超ムカつく。いい子ぶってバカでしょ?」
「あたし、別に正義感ぶってなんか……――」
「そういう考え、普通じゃないし」
「普通って……なに?」
「アンタ、そんなこと聞かなきゃわかんないわけ?」
「大切な誰かを守ろうとすることは普通じゃないの?相手を見捨てて裏切ることが普通なの?」
「ハァ?そんなことあたしに聞くんじゃねぇよ。めんどくさっ。もういこっ?」
吐き捨てるように言うと、美奈子は取り巻きにアゴで指示を出して屋上から出て行った。
その場に残されたのは、ぐちゃぐちゃなお弁当とズタズタに切り裂かれた心。
ようやく本当の友達ができたと思ったのに。
それすら、美奈子は許してくれないの……?
「……――大丈夫。大丈夫。大丈夫」
心が壊れそうになり呪文のようにポツリポツリとつぶやく。
宇宙君が『大丈夫』と言ってくれると気持ちが安らぐのに、自分でじゃ何度つぶやいても気持ちは一向に晴れない。