キミと生きた時間【完】
「隠すって……何を?」
声が上ずって、頬の筋肉が緊張で強張る。
「今日あたしのカバンにタバコが入ってたのも何か理由が……――」
このままじゃ、樹里が……――。
樹里まであたしと同じ思いをすることになってしまう。
ごめんね、樹里。
大好きだから、こうするしかないの。
あたしが……樹里を守るから。
「……――離して。またね、バイバイ」
冷たい口調でそう言うと、あたしは樹里の腕を振り払って歩き出した。
「うわぁ~。里桜って冷た~!!」
今、樹里はどんな顔をしているんだろう……。
ごめんね、樹里。ごめん。
背中に美奈子達の笑い声がぶつかり、あたしは拳を握りしめたまま、まっすぐ前だけを見据えて歩き出した。