キミと生きた時間【完】

「あたしね、ようやく本当の友達に出会えたと思ったの」


「あぁ」


「自分の弱い部分も見せられるし、その子もあたしに見せてくれる。一緒にいるとホッとするし、楽しいし、本当に大切な友達なの」


「そっか」


「だけどね、あたしのせいでその友達まで巻き添えになりそうなの」


「巻き添え?」


「その友達までいじめられそうってこと。その子ね、帰ろうとするあたしを呼び止めてくれたの。一緒に帰ろうって」


本当はすごくすごく嬉しかった。


クレープを食べながら、色々な話をしたかった。


もっと樹里のことを知りたかったし、樹里にもあたしのことを知ってほしかった。


もっともっと仲良くなりたかった。


「それなのに、あたし……その子の手を振り払っちゃったんだ……」


樹里がどんな顔をしてるのか知るのが怖くて、あたしは振り返ることなく教室を飛び出した。
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