キミと生きた時間【完】

「彼女がいないってことは、里桜とも荒木さんとも……どちらとも付き合ってないってことですよね~?」


「……あぁ」


「よかったぁ……。あっ、荒木さんとはどういう関係なんですか?」


「……中学の同級生」


宇宙君の言葉の歯切れが悪い。


明らかに何かを隠そうとしているようだった。


その時、ふと浮かんだ樹里の言葉。



『えっ?樹里、彼氏いたの!?』


『うん。ケイジとは卒業してからすぐに付き合い始めたから、もう2年の付き合いになるの』


同じ中学の同級生。


自殺しようとしていたところを救ってくれたのが今の樹里の彼氏。


何かを隠している宇宙君。


『その日から、あたしにはケイジっていうたった一人の仲間ができたの』


嬉しそうに彼氏の話をしてくれた樹里。


なんだろう。


嫌な予感が体中に広がる。


あたしは黙って美奈子と宇宙君のやりとりに耳を澄ました。


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