キミと生きた時間【完】

美奈子にこの場所がバレてしまったということは、すべての終わりを意味している。


この神社だけがあたしの心の支えだったのに。


宇宙君とこの神社で言葉を交わすことが何よりの楽しみだったのに。


学校の中に居場所のないあたしにできた、たった一つの心安らぐ居場所。


それすら美奈子は奪いに来た。


そして、居場所だけではなく、宇宙君まで。


「悪い。先歩いてて。すぐ追いかけるから」


「は~い!里桜、また明日ね~!!」


宇宙君の言葉に、嬉しそうに手を振って背中を向ける美奈子。


今すぐにその背中を追いかけて行って蹴り飛ばせたらどんなにいいか。


『あたしの宇宙君を返して!!』


そう怒鳴り散らせたらどんなに心が晴れるか。


『あたしの大切なものをこれ以上奪わないで!!』


そう叫び必死で抵抗する勇気があれば……――


あたしは美奈子にいじめられなかったのかな……?
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