キミと生きた時間【完】
「お母さんはな、里桜を生むのに3日もかかったんだ」
「……え?」
思いがけない言葉に首を傾げる。
「お母さんのお腹の中は居心地がよかったんだろうなぁ。陣痛が始まっても、里桜はなかなかお母さんのお腹からでてこようとはしなかったんだ」
「それで……」
「それでも、お母さんは必死で里桜を産んだ。お母さんは苦しくても弱音一つ吐かずに必死になって里桜を産んだんだよ。だけど、産み終わった後、お母さんが言ったんだ」
――……変だわ。右手の感覚がないの。
「その後、すぐにリハビリを初めて今はたいていのことはできるようになった。だけど、今もまだ麻痺が残ってるんだ」
お父さんが話し終えると、お母さんは「ごめんね、里桜」と小声で謝った。