キミと生きた時間【完】
「知らないけど……」
「ふぅん。アンタ、よく彼と一緒にいられるね?」
「どういう意味……?」
「背も高いし、顔もいいし、容姿は完璧だと思う。だけど、性格は最悪じゃん」
「え……?」
「一緒に遊びに行こうとか言ってたくせに、ずっとつまんなそうな顔しててさ。自己中だし、上から目線でしゃべるし」
「えっ?宇宙君が……?」
「ずっとムカついてたけど、ニコニコして我慢してたらさ、『今、どんな気持ち?』とか言いだすし。意味わかんない!しかも、去り際に『今までのこと、里桜に謝れ』とか訳わかんないこと言ってたし。あたしがなにしたって言うのよ!」
美奈子は昨日のことを思い出したのか、奥歯をギリギリさせる。
宇宙君は気付いていたのかもしれない。
あたしが美奈子にいじめられていると……。
クラスメイトにいじめられているという話はしたけれど、美奈子の名前は出したことがない。
それでも、きっと宇宙君は気付いてくれたんだ……――。
そして、それに気付いた宇宙君はあたしをいじめる美奈子にささやかな報復をしてくれたのかもしれない。
「名前すら教えてくれないとかありえないし。ていうか、里桜も遊ばれてるんじゃない?あんな最低な男、やめておいた方がいいって」
最低?宇宙君が……?
「ちょっとカッコいいからってマジ調子に乗りすぎだし。女ナメすぎ」
宇宙君は調子に乗ったりしないし、女の子をナメたりもしない。