キミと生きた時間【完】
10 優しい嘘
帰りのHRが終わると、あたしは隣に座る樹里に手を振り、誰よりも先に教室を飛び出した。
下駄箱で靴に履き替えてバッグを肩にかけるとグッと前を向いて歩き出す。
『宇宙君って多分、あたしの彼氏の親友だよ』
確信があるのか、はっきりした口調で言った樹里。
あたしはそれを確かめるために、宇宙君の通う城内高校に向かうつもりだった。
『だけどね、里桜。彼は……――』
樹里の放った一言が、あたしの足を急かす。
気持ちだけが先走り、前のめりになって何度も転びそうになった。
樹里の言っていた彼が、宇宙君でないと信じたい。
だって、宇宙君は……――。
あたしは真っ直ぐ前をむいて、一心不乱に足を進めた。