キミと生きた時間【完】
「ちょっと~、もう少し楽しい顔してよぉ」
デジカメの液晶に映った宇宙の顔が露骨に嫌そうで苦笑する。
「楽しい顔ってどういう顔だよ」
「ん~……もういいよ。写真は諦める」
ほんの少し考えるふりをしてそう答えると、宇宙はホッとしたような表情を浮かべた。
「……――隙ありっ!!」
あたしは宇宙の背中にほうにこっそり腕を回して、右手で宇宙の脇腹をくすぐった。
「おいっ、お前、マジやめろって!!」
たまらず吹き出した宇宙。
あたしはできる限り体を密着させてシャッターを切った。
「やったぁ~!!宇宙の笑顔の写真ゲット!!」
目を細めて笑う宇宙を横目で見て笑うあたし。
宇宙をだまして撮ったとはいえ、最高の写真が撮れた。