キミと生きた時間【完】
「……――あっ。そろそろ時間じゃない?」
楽しい時間は長くは続かない。
今日は16時から宇宙の病院の予約が入っていた。
「もうそんな時間か」
宇宙は腕時計に視線を落としてため息交じりに言う。
あたしは名残惜しい気持ちを抱えたまま立ち上がり、宇宙に言った。
「今日、あたしも一緒に行ってもいい?」
「どこに?」
「病院」
「いいって。一人で行けるし」
「……ダメ?」
「そんな顔されると、ダメとか言えない」
遠慮がちに聞くと、宇宙は諦めたように柔らかい笑みを浮かべた。
「つーか、そういう顔されると理性効かなくなるんだけど」
そして、宇宙はそっとあたしの唇にキスを落とした。