キミと生きた時間【完】
「ここ」
宇宙が指差した先にある大きな病院に目を奪われる。
そこはこのあたりでは有名な総合病院だった。
まだ新しい7階建ての病院には屋上庭園もあり入院患者の憩いの場になっていると宇宙が話してくれた。
一階のロビーの前にはタクシーが列をなし、駐車場は夕方だというのに満車だった。
ロビーの中に入り、エレベーター前で宇宙が振り返った。
「もうすぐ予約の時間だから、行かないと。里桜はどうする?」
「宇宙の診察が終わるまでこのあたりで時間潰してる」
「分かった。じゃあ、あとでな?」
「うん」
手を振って宇宙と別れる。
一人で歩き出す宇宙。
あたしはその背中をジッと目で追った。