キミと生きた時間【完】
気持ちを落ち着かせるために何度か深呼吸をしてから、宇宙の座るベンチに歩みを進める。
「……――そーら。みーつけたっ!!」
そう言いながら宇宙の隣に腰かけると、宇宙はニッと笑った。
「よく見つけられたな。今、電話しようとしてたところ」
さっきまでの暗い表情とは一転して、眩しいほどの笑みを浮かべる宇宙。
あたしも負けじと笑顔で返した。
「ふふっ。すごいでしょ?これぞ、愛のパワー!!」
「バーカ。俺には勝てねぇよ」
そっとあたしの手を掴み、自分の上着のポケットに入れる。
「宇宙の手、温かいね」
「里桜の手が冷たすぎんだよ。つーか、病院の中で待ってなかったのかよ」
「ずっと病院の中にいたよ?少し暇になったから、気分転換に外に出てきたの。そしたら、偶然宇宙がここにいたんだ」
宇宙を追いかけてきて、しばらくそばで見ていたとは口が裂けても言えなかった。