キミと生きた時間【完】
「今日、いつもより寒いな」
「うん……。もう秋も終わりだね。もうすぐ冬だ……」
「あぁ」
そう言ったっきり、宇宙は黙り込んだ。
お互いに言葉を発することなく、ただ黙って手を繋いでいた。
時々、絡まる指先に力がこもる。
どのぐらいそうしていただろう。
ようやく宇宙が口を開いた。
「……――なぁ、里桜。俺たちが初めて会った日のこと、覚えてるか?」
「うん。忘れるはずがないよ。宇宙がバッグをひったくられて、あたしが追いかけたんだよね」
「あぁ。あの時、俺、正直里桜にムカついてた」
「……へっ!?」
宇宙の一言に頭を鈍器で殴られたような衝撃が走る。