キミと生きた時間【完】
「クラス中のみんなが口々に俺をバカにしているとき、宇宙だけは何も言わずにただ黙って席に座ってたんだ。だけど、急に立ち上がって俺の元へ歩み寄ってこう言ったんだ」
……――みんながなんて言おうと、俺は味方だから。
そう言うと、宇宙はたった一人でケイジ君をバカにしているクラスメイトに立ち向かっていった。
「俺がやり返してやりたいって思ってたことが宇宙には全部伝わってたんだろうな。宇宙はたった一人で戦ってくれたんだ。俺の為に」
その当時を思い出したのか、ケイジ君は奥歯をグッと噛みしめて感情を抑えているように見える。
「宇宙があまりに派手に暴れるもんだから、机と椅子がひっくり返って、怒号と叫び声が入りまじってものすごかった。女子の大半はその騒動に驚いて泣き出しちゃったしね」
「それからどうなったの……?」
「それからすぐに、宇宙が胸を押さえて苦しみだしたんだ。顔は真っ青になっているし、熱くもないのに額には大粒の汗が浮かんでた。教室の床に背中を丸めて倒れ込んだ時、騒動に気付いた先生が駆けつけて宇宙は保健室に運ばれていったんだ」
「ケイジは、その時に宇宙くんが病気だって知ったんでしょ?」
樹里の言葉に、ケイジ君は大きく頷いた。