キミと生きた時間【完】
「樹里と仲良くしてくれて、本当にありがとう」
「ううん。違うよ。仲良くしてもらえて嬉しいのはあたしの方なの。樹里が言ってくれたの。あたしの味方だって」
その言葉が、本当に本当に嬉しかった。
ずっと一人ぼっちだと思っていたあたしの前に現れた樹里という存在はまるで暗闇の中にさした一筋の光のようだった。
あたし、ずっと樹里のことを誤解してた。
見た目も派手だし、誰ともつるまず、一人でも全然平気そうな顔をしている強い人だと思い込んでいたんだ。
だけど、樹里にはいまだに忘れることのできない傷があって。
その古傷を再びえぐることになるかもしれないのに、樹里はそっとあたしに手を差し伸べてくれた。
『……――保健室いくよ』
あたしはいまだに樹里のあの手のぬくもりを覚えている。