キミと生きた時間【完】
ボロボロと涙が溢れ出して止まらない。
看護師さんがちらりとこちらに視線をやって、苦しそうな表情を浮かべる。
あたしはたまらずその場に座り込み、顔を両手で覆った。
おばあさんは泣き崩れるあたしの背中をさすってくれた。
初対面のおばあさんに手のひらは宇宙と同じように温かくて。
目をつぶると、宇宙の笑顔を頭に浮かんだ。
『バーカ』って呆れたように笑う宇宙。
『里桜』ってあたしの名前を呼ぶ低い声。
ガシガシとあたしの頭を撫でる大きな手のひら。
ゴツゴツとしているけど、細くて繊細な指先。
あたし、宇宙のすべてが大好き。
今も変わらず……大好きなの……。
その時、手術室のランプが消えた。
その瞬間、何かが弾けたように周りの音が鮮明に聞こえた。
「……――宇宙!!」
あたしはそう叫ぶと、手術室へ走り出した……――。