キミと生きた時間【完】

『今思えば、初めて会った時から里桜に惹かれていたんだと思う。俺は里桜に出会えて最高に幸せだったけど、里桜はどうなんだろうな……。俺、泣かせてばっかりだもんな……』


そんなことないよ。


あたし、宇宙と出会えて世界一の幸せ者だよ。


『付き合ってからも、俺のせいでどこへも連れて行ってあげらんねぇし。本当は遊園地にいきたかったんだよな?里桜が俺に気を遣ってるの知ってたのに、何もしてやれなくてごめん』


違う。あたしは……遊園地なんてどうでもよかったの。


宇宙が一緒にいてくれるなら。


ただ、それだけでよかったの……――。


『本当、何もしてやれなくてごめん。何もあげられなくてごめん』


『俺ばっかり、里桜にもらってごめんな』


違うでしょ……?


あたしは何もあげてない。


宇宙があたしにくれたんだよ……?


たくさんの愛を、希望を、優しさを、温かさを、ぬくもりを。


全部全部、宇宙が教えてくれた。
< 315 / 326 >

この作品をシェア

pagetop