キミと生きた時間【完】

「……おか……えり……」


ずっとずっと待ち望んでいた宇宙の退院の日。


『ずっと一緒にいよう』


二人の想い出のこの場所であたしと宇宙は約束を果たした。


思わず涙を流すあたしの体を宇宙がそっと抱きしめる。


「何泣いてんだよ。泣き虫、里桜」


「だって……」


「泣くなよ。俺、ちゃんと生きてるんだから」


宇宙の胸に耳を当てると、確かに宇宙の心臓の音を感じられる。


宇宙の匂いがぬくもりが……


そのすべてが嬉しくてたまらない。
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