キミと生きた時間【完】
「じゃあ、俺が力になってやる」
「えっ?」
「……――って、普通なら言うんだろうけど、俺は無理かもしれない」
「無理って……?」
「果たせない約束はしたくないから。ごめんな」
少しだけ申し訳なさそうな宇宙君にあたしは微笑んだ。
あたしはハハッと笑って宇宙君にこう返した。
「何で宇宙君が謝るの?ねぇ、宇宙君知ってた?あたし、宇宙君にパワーもらってるんだよ」
「パワー?」
「そう。宇宙君と知り合ってこうやって毎日神社でおしゃべりするのが今のあたしの生きがいになってるの。こういったら重いかもしれないけど、あたし、宇宙君と出会ってから世界が変わったの」
宇宙君と一緒にいるだけで、心が軽くなる。
学校ではいまだに一人ぼっちだし、嫌がらせがやむ気配はない。
だけど、今まで学校があたしの生活の中心だったから。
家と学校の往復だった毎日が、宇宙君と出会って少しだけ変わった。
家に帰る前にこの神社に寄り、宇宙君とおしゃべりをする。
それが、あたしの心のよりどころだった。
「大げさな奴」
「大げさなんかじゃないよ!本当のことだもん」
「分かった。それなら、俺には何でも遠慮なく話せよ?……少しの間なら聞いてやれるから」
「本当にいいの?」
「あぁ」
「やったぁ!!!」
自分のことで精一杯だったあの時。
あたしには、何も見えていなかった。
宇宙君が喜ぶあたしをどんな顔で見つめていたかも……――。