キミと生きた時間【完】
まさか美奈子がうちに遊びに来るなんて考えてもいなかったし、部屋の片づけもしていない。
だけど、ここで断ればきっと美奈子たちからのいじめはエスカレートするに違いない。
それに、もしうまくいけば、また美奈子と仲良くやっていけるかもしれない。
一時は親友だと思っていた美奈子との関係が少しでも修復できるいいチャンスかもしれない。
それに、お母さんだってあたしが友達を連れて来たら喜んでくれるはずだ。
きっと、笑顔を浮かべてこう言うに違いない。
『お友達が来てくれてよかったわね』って。
クラスにたくさんの友達がいるという嘘をついているあたし。
でも、家に友達を連れて行ったことはない。
お母さんだって怪しいと思っているかもしれない。
今日、美奈子たちを家に連れて行けば少しは安心させてあげられるはず。
「うん、分かった。だけど、部屋散らかってるよ?」
「いいのいいの~。そんなの気にしないから。じゃ、放課後。約束ね~?」
美奈子は鼻歌交じり自分の席に戻って行く。