キミと生きた時間【完】
「っていうか、あなたって城内高校の生徒なの?」
「……なんで?」
「何でって……城内高校の制服を着てるからそうなのかなって」
「ふぅん。まぁそうかもな」
『はい』でも『いいえ』でもないその答え。
それ以上詮索してくるなっていう彼の心の声が聞こえてきて、あたしは口をつぐんだ。
あたしが彼に好意を持ったと勘違いして、一線引こうとしているのかもしれない。
そんなつもりないのになぁ……。
心の中でそう反論する。
「つーか、そろそろ帰れ。もうすぐ雨降るから」
「雨?まだ降らないよ。降るとしても、今すぐはありえないよ」
「いや、降る」
かたくなに『降る』と言い切る彼。
空を見上げても、ところどころ黒い雲は見えるけれど、今すぐ雨が降るとは思えない。
天気予報でも、雨は夜からだってお天気お姉さんがいっていたもん。
「ん?」
だけど、そう答えたと同時に、ポツリと何かが鼻先を濡らした。