キミと生きた時間【完】
「逃げたくなったら、逃げればいい」
「……え?」
「逃げて逃げて逃げて、そして戻ってくればいい」
宇宙君は真っ直ぐ前を見据えて言う。
「逃げるのは弱いからじゃない」
ハッキリと耳に届いたその言葉に目頭が熱くなる。
ずっと、弱い自分が嫌でたまらなかった。
いじめを受けるのは弱い自分の責任だって思っていたし、何をされてもグッと我慢することしかできなかったから。
嫌がらせを受けてそれに立ち向かおうとして、やり返されるのが怖かった。
これ以上、傷付くのは耐えられなかったんだ。