キミと生きた時間【完】
4 負けない心
「ねぇ里桜、彼を紹介してって話、覚えてるよね?」
学校へ着くなり、あたしの席にやってきた美奈子は機嫌良さそうに話しかけたきた。
確かに少し前、紹介してと頼まれたけど、宇宙君を紹介するなんて一言も言っていない。
それなのに、あたしの意に反して話はどんどん進んでいく。
「……紹介……?」
「何その反応。忘れてたとか言わないよね?」
「忘れてたわけじゃないけど……」
「じゃあ、何?もしかして、彼をあたしに紹介したくないとか言わないよね?」
「それは……」
紹介したくない。
そうはっきり口にしたいのに、喉の奥で言葉が引っかかっている。
美奈子を拒否する代償が確実に大きいと分かっているから。