キミと生きた時間【完】
「中2の夏、その当時一番仲の良かった子がクラスメイトから無視され始めたの。あたしはその子が好きだったし、誰が何と言おうとその子と一緒にいた」
「うん……」
「最初は悪口から始まって、どんどんエスカレートしていった。いじめる側の人間が日に日に増えて、その子と口をきく人間はあたしだけになったの」
淡々とした口調で話す荒木さん。
だけど、表情は険しい。
「ある日、いじめの首謀者に『ねぇ、荒木さんもあの子ムカつかない?』って聞かれたの。だから、はっきり言った。ムカつかないし、いじめっていう卑劣な行為をしていることが許せないって」
「それで……?」
「そしたら、次の日、いじめのターゲットはその子からあたしに変わってた」
「そんな……――」
「毎日、悪口を言われて物を隠されて。みんなに同じメールが回ってるのに、自分だけには届かなかったり。空気みたいに扱われた」
苦しそうに続ける荒木さんの痛みは計り知れない。
あたしは思わず顔をしかめた。