キミと生きた時間【完】
5 心友
……――これは、夢なのかな……?
目の前に広がるのはまだ幼い頃、両親と行った初めての公園。
いくつもの鉄の輪の中を進んでいく遊具を見つけて、あたしは真っ先にその輪の中に飛び込んだ。
だけど、途中でふと下を見ると急に足がすくんだ。
『怖い……。どうしよう……』
その場で固まって動けなくなるあたしに気付いて、両親が声をかける。
『里桜、こっちだ。こっちに手を伸ばせ!!』
『お母さんもいるわよ。どちらかの手を掴んで!!』
お父さんが輪の上から手を伸ばして、お母さんが輪の下から必死に声をかける。
だけど、あたしはその輪から手を離すこともできずにたまらずに泣き出した。