紫陽花たちの相合傘
目の前が開けたような気分になり、ありがとうと言おうとするも、「バカじゃねぇの」という声に遮られた。
「へ?」
冷たい声に目を向けると、……わぁ、目も冷めてる!
「ぐだぐだぐだぐだ鬱陶しい。
好きでもないならいつまでも引きずってんじゃねぇよ。
感傷に浸って何が楽しいんだ」
今まで黙って聴いてくれていたと思えば、溜めこんでいただけらしい。
ポカーンと開いた口はマヌケ面なのか、フンと鼻で笑われた。
「後ろばっか見てていいことあんのかよ」
好き勝手に言うと、ベランダから出て行く。