紫陽花たちの相合傘
かくかくしかじかといった風にこれまでの経緯を話した。
簡潔にまとめはしたが、下校時間であることもあり、校内には私たちの他はもういなさそう。
話が落ち着いたところで紫藤くんは納得したように自己完結させた。
「つまり、花野はまだあいつが好きだと」
「違うよ⁈」
「あれ」
「好きだけど、好きじゃないの。
もう付き合いたいとかじゃないから」
そうして、初め滲んでいたはずの涙が知らないうちに渇いていたことに気づく。
ああ────そっか、とようやく自分の気持ちを理解した。
「ただ、誰かに聴いて欲しかっただけ」