恋結び ~キミのいる世界に生まれて~

「気づいてあげられなくて…ほんと悔しい」


言わなかったあたしを責めるんじゃなくて、気づけなかったと悔しさを滲ませる莉子に、あたしも涙があとからあとから溢れ出してく。


莉子を信じて打ち明けていれば良かったという後悔と共に。


「莉子っ……っ……っ……」


癒されて流れる涙が、薬のように優しく心にしみわたっていく。


緊張の毎日を過ごしている今、莉子の存在はどれほど救いになるだろう。


きっと、こんなに思ってくれる親友。

世界中のどこを探したっていないよ……。





ひとしきり嗚咽を漏らしあったあと、莉子は難しい顔をした。


「…ホントに翔平と彩乃は付き合いはじめたのかな。噂ばっかり先行して、それっぽい事実は全然見えてこないじゃない」


「……だって、キスしてたもん」

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