恋結び ~キミのいる世界に生まれて~

「俺が生まれて来なければ、美桜にも会えなかっただろ?」


そして、穏やかな視線をあたしに投げた。


「……うん」


同感、だった。


改めて考えたことなんてなかったけど、あたし達がここに存在するのは、生みの親ありきの話で。


同じ時代に生を受け、共にこうして幸せを感じられるのも、全て、あたし達を生んでくれた人がいるから。


「そう思ったときに、初めて自分の存在理由を明確に出来た気がした。

俺は生まれてきて良かった人間なんだって。美桜に出会うために生まれてきたんだって…」


生まれてすぐに親の愛に見放されたと知ったあたし達は、どこかで自分の存在理由を問いかけて続けていた。


それは潜在的に。

< 164 / 615 >

この作品をシェア

pagetop