恋結び ~キミのいる世界に生まれて~
感触を確かめるようにゆっくりと上下する唇。
耳元を震わす翔平の息遣いが、体の芯まで熱くする。
このまま甘くとろけてしまいそうにそのキスに酔いしれていた時――
―――バタンッ
「母ちゃんが桃むいた―――……あ、」
ドアが開くのとそんな声が聞こえたのは同時だった。
えっ……
パチンと弾かれたゴムのようにあたしたちは不自然に体を離した。
り、理人っ!!!
明るくなった視界に飛び込んだのは、手に桃のお皿を持った理人の姿。